高度成長で「モーテル」誕生~「テレビあります」!?

モーテルとは「motor」と「hotel」を組み合わせた英語で、アメリカで1920年代に広まったものです。カップル専用の物ではなく、自動車で移動する人たちの宿泊施設です。この名前を輸入して、日本製の「モーテル」が登場します。日本のモーテルは「カップル専用」ですので、名前は同じでもアメリカの物とはまったく異なります。

モーテルの発祥は石川県

1963年には、日本最初のモーテルと言われる「モテル北陸」が石川県加賀市に開業します。1960年から70年にかけては日本の高度成長期で、モータリゼーションの巻き起こった時代です。「連れ込み旅館」の時代には、旅館は鉄道駅の近くと相場が決まっていましたが、庶民が車に乗るようになり変化が起こります。

車の普及に伴い、自動車でそのまま入れるモーテルは画期的なアイデアとして大流行します。「連れ込み旅館」に向かう途中で誰か知りあいにあってしまうリスクもありません。「モーテル」というアメリカから輸入したネーミングもうけて、オシャレなホテルのイメージもつきました。

それまでは、「連れ込み旅館」は都心部にしかなく、地価の高い場所で営業していましたが、モーテルの登場で、地価の安い山の中でも営業ができるようになり、地方にもどんどん広まりました。

「旅館」から「ホテル」へ

高度成長が影響を与えたのは車だけではありません。テレビ、冷蔵庫、冷暖房が一般家庭に普及するのにつれ、旅館もこれらを導入して「売り」にし始めます。次第に名前も「旅館」から「ホテル」にするところも増えていきます。モーテルの成功により、地方にもカップル専用のホテルが広がりました。

都心部で営業するには、ひっそりとしたたたずまいでも構いませんが、田舎で営業するにはある程度目立たせる工夫が必要です。そこから、派手なネオンサインで飾り立てたり、お城風の建物にしたりと、外観にこったホテルが次々と登場しました。1970年代には「ラブホテル」という呼び方が一般的になり、徒歩で入れるホテルはラブホテル、車で入るホテルはモーテルと一応の線引きができました。

ラブホテル、モーテルともに、回転ベッドなどさまざまな工夫をこらし、「仕掛けホテル」と呼ばれることもありました。

1960年代から70年代にかけての経済成長に乗り、車で入れるモーテルが誕生。連れ込み旅館も室内設備を充実してラブホテルへと変身しました。