「鏡」が盛り上げたセックス

部屋の壁や天井に鏡を張るというのも、日本人が発明した性的アイテムのひとつでしょう。鏡を使うこと自体にはテクノロジーは必要ありませんので、電動ベッドが登場するよりもはるか以前から「鏡部屋」は存在しました。「連れ込み旅館」と呼ばれていた多くの旅館には、セックス用の鏡がはられていました。

「鏡」は売春宿の定番

昭和30年代の前半まで存在した「赤線」と呼ばれる売春宿の多くに、「鏡」が設置されていました。当時はベッドではなく「布団」の時代で、部屋の壁側に腰くらいの高さのふすまがあって、それを開くと鏡が現れる、というような仕掛けが基本です。派手な部屋の場合には、壁全体が鏡になっているものもありました。

鏡台のように小さなものではなく、横長の大きな鏡に全身がうつるため、性行為を盛りあげる装置として人気がありました。中年男性の中には勃起力が弱まった客もいて、鏡にうつる裸を眺めて興奮度を高めることで、性交をしやすくする効果もあったようです。

売春宿では、できる限り客をはやく勃起させ射精させることで回転率をあげられますので、こうした工夫が考案されたのかもしれません。

鏡がラブホテルの定番に

売春宿から派生した「連れ込み旅館」でも、鏡は定番の装置として使われていました。当初は控えめに設置されることの多かった鏡ですが、次第に大きくなりさまざまな工夫もされます。当初の連れ込み宿は狭い部屋が多く、鏡を置くことで部屋全体が広く見えるという効果もあったため、設置が進んだとも言われています。

全面鏡の天井がつくられ、仰向けになっている側には常に行為がみられるようにしたもの。さらに、その鏡を拡大鏡にして、遠くからでもアップでみられるようにしたもの。マジック鏡にしてあり、行為が立体的にみられるようにしたものなどなどがありました。

回転ベッドの周囲の壁を全面鏡にして、回転しながら全方向に二人の行為がうつされるようにしてあるものは、特に人気がありました。自宅では経験できない刺激に多くの人が興奮し、「ラブホテルでのセックスは燃える」となって、鏡はラブホ人気アップに貢献しました。

赤線時代から続く「鏡」文化は、連れ込み旅館、ラブホテルと引き継がれ、電動ベッドとのダブル効果で、ラブホ人気を高めました。