日本のテクノロジーが生んだ「電動ベッド」

回転ベッドを含む電動ベッドの考案者が誰なのかは諸説あってはっきりしません。おそらく、ほぼ同時期に複数の技術者がそれぞれ独自に開発したのでしょう。最初は健康器具をベッドに組み込むことからスタートしましたが、そのうちにどんどんスゴイものが発明されます。

健康器具をベッドに組み込んだのが電動ベッドのはじまり

名古屋の電気工事屋だった加藤雄二氏は、寝具商を営む兄と共同で、電気アンマ器の仕掛けをベッドに組み込みました。それをとあるモーテルに売り込み導入してもらうと大ヒット、次から次へと注文が殺到して1年に400~500台を販売したそうです。

また、名古屋の健康器具メーカー「ビケン」が平衡感覚を養う健康器具をベッドに組み込んだところ、これが大ヒット。以降、300種以上の電動ベッドを考案し販売しました。こうしたヒットは、ラブホテルにおけるベッド競争になつながり、中には数百万円から1千万円の豪華ベッドを設置するホテルも現れました。

さまざまな電動ベッド

「モンローベッド」というものがありました。ベッドの敷布団の部分がくねくねと、マリリンモンローの腰つきのように動くというものです。男性の下になった女性の腰が勝手に動くため自然といろんな体位になり、女性が絶叫するほどの快感を得られる?というすぐれものでした。

まだつきあい始めて間もないカップルのために「ドッキングベッド」というものもありました。離れた場所にツインのベッドがあり、それぞれ別々にベッドにはいると、ボタン一つでドッキングするというものです。「今晩は何もしないよ」と安心させたうえで、オオカミに変身するという「お遊び」のベッドです。

この他にも、ボタンを押すと床に穴が開いてベッドが登場する「かくしベッド」、亀の背中に乗ると振動しながらレールの上を走る「亀の子ベッド」。中二階にある細長い客室型の寝室に入ると、レールの上を走り回る「オリエントエクスプレスベッド」、周囲にはヨーロッパ各国の景色が映し出されるという演出付きです。

ベッドルーム全体がエレベーターのように上下に動き風景も見えるという「エレベート・ベッドルーム」。ふかふかの芝生のようなジュータンの上にバイブレーターが仕込んである「アオカンベッド」などなど、創意工夫をこらしたベッドがつくられました。バイアグラのなかった時代ですので、ED気味の男性は少しでも性的興奮を高めるアイテムが必要だという背景もあったのかも知れません。

最近ではこのような大がかりな仕掛けのベッドはなかなか見当たらなくなり、カラオケやビデオオンデマンドなどのレジャー設備が増えています。直接性行為を刺激的にするアイテムは少なくなっていますので、壮年以上の男性でラブホを利用する際にはバイアグラを準備してセックスに臨む人も増えているとか。以前はバイアグラの特徴があまりよく知られていなかった時期もありましたが、現在では安全性や効果が広く知られるようになっており、気軽に受診出来る専門クリニックも増えているので、ユーザー数は増えているようです。

電動ベッドは実に多くの種類が考案され、ラブホテルの顔になりました。世界中どこを探しても、これほど多種類のベッドをつくった国はないでしょう。現在ではほとんど廃れてしまいましたが、日本の技術力が結集された時代を反映する文化でした。